Our Vision

「自分の世界」の外側に出たとき、
人はもう一度、自分らしく話せる。

私たちは自身の言葉が連なって構成された、限定的な世界の中で暮らしています。

暗黙の了解や顔ぶれの固定化されたコミュニティの中で、いつしか「自分らしく話すこと」が窮屈になってしまう。ひきこもりの方や、施設で毎日同じ人と顔を合わせている高齢者の方々が抱える孤独の根底にも、そうした「閉じた世界」の息苦しさがあります。

私自身、転勤族として様々な土地を転々とした子どもの頃や、医療の世界から離れて事業家を志した頃、自分の属していた世界の常識が、いかに狭かったかを痛感しました。まったく違う価値観の方々とたどたどしくも対話を始めることで、心も軽くなり、自分自身の新しい一面を発見できたのです。

世の中には、様々な事情でなかなか外の世界の人と話す機会がなく、日々の生活に閉塞感を感じている人たちがたくさんいます。

そこで「自分の世界の外側にいる人たちと、気軽におしゃべりできる場」を作りたいと考えました。

「日本で学び、働きたい」と願う海外の若者たちとの対話は、まさにその境界線を越える体験です。彼らには日本の細かい同調圧力は通用しません。だからこそ「うまく話さなきゃ」という重圧から解放され、お互いに歩み寄りながら、言葉だけではない、表情や身振り手振り、その場のノリ主体のコミュニケーションが生まれます。

そこでは、教える・教えられるという垣根を越え、お互いの良さを再発見し合う温かい時間が流れています。

これから先の日本は、より多くの外国人の方々とともに暮らしていく社会になります。例えば、私の縁ある下呂市ではすでに人口の約1割が外国籍の方です。そんな時代を前に、「外の世界の若者」が日本の地域を知り、愛着を持ってから日本へ来てくれること。そして、日本の人々が「外の文化」に触れ、違いを楽しみながら受け入れていくこと。

このような双方の歩み寄りを経た共生のあり方と、ただ稼ぐためという理由を越えた日本への特別な想いを持って日本社会へ来てくれる海外の方々、この2つを上手く共鳴させることができれば、他国での移民受け入れの結果とは違う未来、日本ならではのお互いの良さを引き出し合うような共生の新しい未来が見えてくる道があるかもしれません。

「国境なきティータイム」が紡ぐ小さな対話が、やがて全国に「お互いが自分らしく、心地よく住み続けられる街」を広げていく第一歩になれば幸いです。

野方 保孝

Founder

野方 保孝

のがた やすたか

医師

九州大学医学部卒業。岐阜県立下呂温泉病院での初期臨床研修を経て、救急医療に従事。学生時代は休学を経験した際の孤立経験を契機に、九州大学病院ひきこもり外来で対話支援に携わる。

2025年にスリランカを訪問した際、経済危機の影響で「日本で働きたい」と願う若者が急増する一方で、実践的な日本語を学ぶ機会がなく、意欲があってもなかなか就労に結びつかない構造的な課題を知り、ひきこもり当事者の方と繋げたところから本プロジェクトが開始。